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未来土木④

[2017.02.22]

2.07、「未来土木~人と自然とやりがいの共存を目指して~」、
本日は、大分大学医学部付属臨床医工学センター 教授:穴井 博文 様による、
『循環~心臓と地球と土木と~』と題したお話について、ご紹介をさせていただきます。

今回、心臓を知り尽くした穴井様に、医療の視点から見た土木について、
地球における自然のしくみを、心臓のしくみでお話いただき、
やりがいある土木へのヒントをいただきたい。
こうした思いから、ご講演をお願いさせていただきました。

穴井先生① 穴井先生②

≪穴井様より≫
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本題に入る前に、なぜ私が今日ここに来たのか、
そこからお話をさせていただきます。

私は、心臓血管外科医でありますが、
臨床医工学センターで産学官連携による医療機器開発
(東九州メディカルバレー構想事業)にも携わっています。

心臓血管外科医は、仕事上、ポンプという機械を使います。
心臓手術は、心臓を止めて行う必要がありますが、
その間の心臓機能の代行として、このポンプを使用します。
若いころ、私はその研究を行い、商品化を行った経緯があり、
それがきっかけで、産学官連携による医療機器開発に携わるようになりました。

こうした、産学官連携による医療機器開発の場合、
産学官連携も重要でありますが、それと同時に、医工連携が重要となります。
医工連携は、医学・医療従事者・医学研究者などの医療と、
工学・工学者・企業研究者・技術などの間での協力、専門知識・技術の提供、
と言われますが、私はこれだけではなく
異分野・異業種への積極的な参入と挑戦、
そして、異分野・異業種の知識・技術の学習と習得、
異業種間の情報交換とディスカッション、
これらが重要となると考えています。

これらを繰り返すことで、異業種の融合が達成でき、
医工連携が成り立つと思っています。

そして、そのためには、医学知識を持った工学者、
工学的知識を持った医療従事者、医学と工学の知識を持った研究者、
これらの人材育成が必要となると考えています。

異業種の中に飛び込み、人材育成を行っていく。
このことは、医療の世界だけではなく、土木の世界でも同じことだと思います。
こうした異業種交流のお話で、コイシの社長と話が盛り上がったことが
きっかけで、今回、お話をさせていただくこととなりました。

社長からは、宇宙と地球の自然のしくみを、心臓の動きにたとえ、
土木の将来につながるような話をして欲しい、そうお願いをされています。

そもそも、「循環」とは、物質・物体・概念・状態が
繰り返しめぐり、まわることを指します。

血液は、結晶と呼ばれる液体成分の中に、血球(赤血球、白血球、リンパ球、
血小板など)が浮遊していますが、この血液の循環の中心の働きを
担っているのが、心臓です。

そもそも、この血液循環はなぜ生じたのでしょうか。
生物の起源は、単細胞生物であり、この単細胞生物が進化し、
植物や昆虫、人間となっていったと言われています。

最初の単細胞生物は、海の中で生まれたと考えられています。
単細胞生物は、細胞を通して酸素や養分を取り込み、
老廃物は排出するという働きを行っています。

単細胞生物が進化をし、多細胞になり、器官を形成し、
臓器をつくり1つの個体となっていく中で、
海から直接、酸素や養分を取り込むことができなくなり、
それぞれの細胞をめぐる海が必要となり、体内に海をつくるようになりました。
血液は、心臓、肺、消化管、肝臓、腎臓を循環することでつくられます。
血液は、恒常性のある「海」だと、私は考えています。

ところで、動物の生活活動は、動くことと子孫を残すことです。
動くことについては、脳・神経・骨格・筋肉といった、
運動器官があれば動くことができます。そう考えると、
循環(を含めた内臓の働き)は、動物の動くことと生殖の使命を維持するための
生命活動だと言えます。

動くという点だけを見れば、
脳をAIやコンピュータが、神経を電線が、筋肉をモータが、
骨格をシャーシーが担えば、エネルギーは電池となり、循環は不要となります。

しかし、これらは生命体ではなく、子孫を残すことはできません。
循環があるからこそ、生命を維持することができると言えます。

さらに、地球に目を向けてみると、水の循環や大地の循環をはじめとして、
地球にも循環があることが分かります。

山が水を蓄え、山を流れる川が豊富な栄養を吸収し、
それが、河口付近の魚介類を美味しくします。
これらを考えると、自然の1つ1つは四季を形成する、
臓器のようなものではないでしょうか。

そう考えれば、人間は地球にとっての1つの細胞でしかないのかもしれません。
水の循環は、地球上の生物を維持するための地球の生命活動であり、
そのエネルギーが太陽。人間にとっての心臓と同じではないでしょうか。

一方で、人類は、高潮・高波・洪水等、この循環と戦ってきました。
そして、灌漑等、生活に利用をしてきました。

土木が、水不足に対して用水路をつくる、そのことは、
医療が狭心症となり、血管が細くなり血液が不足している患者さんに、
バイパス手術をする、そのことと一緒ではないかと思い至ります。
そう考えると、河川の氾濫は大動脈瘤の破裂、堤防は人工血管置換、
これらに相当するのかもしれません。

こうして考えていくと、
土木は「地球の循環の制御」だと、言えるのかもしれません。

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大分大学医学部臨床医工学センター


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