[2020.11.10]
第70回目のコイシ塾は三井物産フォレスト株式会社 伊藤様をお迎えし
「ドイツの近自然林業から日本の森林の未来を考える」と題して講演いただきました。
伊藤様はドイツの森林学校に留学し、森林作業員の職業訓練を受け
ドイツ国家認定森林作業士資格を日本人として初めて取得されています。


日本とドイツの違いを実で感じたからこそのお話は非常に勉強になりました。
◯教育制度の違い
・10歳で進む道の方向性を決める。
・デュアルシステム(企業で働き、給与を貰いながら職業学校で専門知識・理論を学ぶ)
・マイスター制度(手工業分野で41種、工業・サービス分野を合わせると350種)
◯日本とドイツの林業地の違い
・日本は単一樹種単層林(一斉林)、ドイツは複層混交林
・日本は明治時代にドイツから法正林思想を導入
メリット:年々計画的に伐採⇒植栽すれば安定的に木材生産ができる
デメリット:気象害や病虫害の影響を受けると全滅する危険性をはらむため。
ドイツでは上記は過去の思想となり、現在は近自然林業(自然共生型林業)に
◯近自然林業(自然共生型林業)
・自然環境に負荷をかけず自然の力を借りながら行う
・将来木(形質の良い木を「将来の木」として選び、質の高い大径材を育てる施業)
・適地適木
・化学薬品の使用を極力控える
・混交林・複層林を育成
・天然更新
当たり前に思えることですが、自然に還るという意味にも思えました。
今後の自然環境を考えるうえで、山・森林の役割が如何に大切か学びました。
国土形成を考える時に、森林が大半を占める日本での森林教育が大切だなと感じました。
森林の多面的機能を貨幣評価すると70兆円/年だそうです。
(環境省公表「平成29年度企業の生物多様性保全活動に関わる生態系サービスの価値評価」)

<↑↑森林の役割>
我々も山や森林、河川や海など様々な現場で取得した3次元データ等々を
管理や教育などの様々な環境の方に活用いただけるように日々取組んでいきたいと思います。
伊藤様、講演ありがとうございました。
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[2020.10.26]
第69回コイシ塾は京都大学大学院 人間・環境学研究科 教授
鎌田浩毅様をお迎えして開催となりました。


先生は大分にも通産省時代によく来られていたそうで懐かしいと仰ってました。
火山に強く興味を抱いたのも恩師(小野晃司様)の影響だそうです。
(弊社にもオノコウジが居ます...)
地球には約11枚のプレートがあって、それが沈み込んだりはね返る力で地震が起こる。
東日本大震災では、約5.3m日本列島が東に動いた。
これをきっかけに1,000年に一回の活動期に入った。
この10年で我々も見て感じてきたのでリアルに響きます。
この東日本大震災よりも大きい被害が想定されるのが
我々もよく聞く南海トラフ地震です。
東海・東南海・南海・日向灘が連動して起こると言われています。
先生はこれを【西日本大震災】と呼んでいます。
呼び方を変えるだけで、何故か響き方が違ってきます...
そして先生は、この西日本大震災は
2035年±5年で起きると仰っています。
「過去は未来を解くカギ」
過去に起こった、東海・東南海・南海をみると見えてくる。
30m級の津波が3分で到達してしまう。
被災人口が6千万人
220兆円の被害
復興に20年で1520兆円(土木学会想定)
自分の命、コニュニティーをどう守るのかこの15年間のうちに、
真剣に考えないといけないなと学びました。
現在日本の中で、安全な都市はとの質問には
「京都」
・水に困らない(湧水が豊富)
・五階建て制限がある(電気・水道等が止まっても人力で暮らせる階数)
・京大から情報収集ができる
学生の現在と昔を比べるとどうですかとの質問に
SNSもあり大きく変わってきた...が
目の前の3人に伝わってるかを大切にしている。
その他にも火山の話やファッションの話がありました。
先生は伝えるのが好きと仰っていましたがそれが伝わってくる熱量でした。
私共も、先生から教えてもらったことを伝えていきたいと思います。
先生、ありがとうございました。!!
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[2019.12.24]
第66回目のコイシ塾は、一般財団法人衛星測位利用推進センター 専務理事
三神泉 様をお迎えして開催致しました。
三神様はあのハワイにある有名な望遠鏡すばるのプロジェクトに関わり
NHK「プロジェクトX」にも出演されWikipediaにも載っておられる方です。

講演タイトルは「世界一の望遠鏡すばるを成功に導いた鍵とは」。
自己紹介、今まで関わったプロジェクトの紹介から始まりました。
最初に太陽・宇宙についても動画を用いて説明してくださり、
・太陽は核融合反応を自ら起こし光と熱を発している。
・惑星はその光を反射して光って見える。
・宇宙にはたくさん銀河があり、地球を含む太陽系銀河も宇宙の一部である。
宇宙の壮大さと魅力を感じます。
そしてすばる望遠鏡プロジェクトのお話です。
国立天文台が「世界一の望遠鏡をハワイに作る。
目標は150億光年の宇宙の果て。鏡の口径は世界最大の8m。」
民間企業にも声がかかったそうですが、壮大な構想すぎて参加する企業は
なかなか居なかったなか、三神様は世界一の望遠鏡を作るというところに
技術者魂に火が付き参加することになったそうです。
その他にもすばる望遠鏡建設時のエピソードもたくさん教えてくれました。
・なぜハワイなのか...(晴天率が高い・住民の協力もあり夜空が暗い...等)
・予算を取るために口径8.2mという世界一を目指した。
・鏡はアメリカ本土で作り、ハワイへの輸送時に段ボールで
三菱マークを作り目立つ場所に貼り付けアピールし社長から褒められた(笑)。

三神様がこのプロジェクトで感じた心構えも教えてくれました。
お客様からの信頼獲得
・思いの理解(言葉と目的の共有化)
・お客様が重要視する問題解決を最優先
技術者・マネージャーの心構え
・絶対成功すると信じ切ること
・原理的にダメなことはしない
・近くの成功を喜び合う姿勢
・技術とは覚えるものではなく理解するもの
「一流の技術者になるには、一流の社会人になることが第一歩」
三神様の実体験からくる、お話の数々を
私共も自身に置き換えながら、役立てていきたいと思います。

最後には、三神様が趣味でもあるトランペットを披露してくださり
その音色に感動の一同でした。
お忙しい中、本当にありがとうございました。
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[2019.03.22]
第65回目のコイシ塾は、一般財団法人 宇宙システム開発利用推進機構の
高山久信 様をお迎えして開催致しました。
コイシ理念に「宇宙のしくみ、自然の原理原則を学び知り、地球でうまれた人間としての役割をみつけ.....」とあり
講師として適任だということで今回お願い致しました。
高山様は大分県出身でもあり、これまで宇宙関連プロジェクトでは
「きぼう」「こうのとり」「ひので」等に関わってこられたそうです。

タイトルは『今、太陽に何が起きているのか?~太陽観測衛星“ひので”が観た太陽~』
『107』何の数字か分かりますでしょうか?
太陽系の惑星の数なんだそうで(現在、確認されている数)
<正解は↑↑空白スペースをマウスでなぞってみてください>
また、地球から太陽までの距離は、約1億5000万 km(太陽 約107個分)あり
想像が及ばない数字が並びますが、それが宇宙や太陽の未知なる魅力なのかも知れません。
その他にも、下記のような宇宙や太陽に関することを知ることができました。
・太陽フレアがもたらす障害が、人工衛星・通信環境等にも影響している
・宇宙天気予報がある
・現在は黒点の数は少ない(200年周期?/地球寒冷化??)
そのなかでも、太陽の寿命は、約100億年で現在、誕生から約46億年と聞き驚きでした。

人工衛星についても、分かりやすく解説して戴き
人工衛星からの観測は、フィルターを通して、観たいもの・知りたいものを見て
観測データを組み合わせて知りたい情報を得ている。
それは人間社会のコミニュケーションも同じかもしれないと仰っていたのが印象的でした。
最後に高山様が仰ってた、【見えているものが全てではない】は
何事にも通じる言葉でそのことを前提に多方面からの情報収集が大切だなと痛感しました。
非常に勉強になり、楽しい時間でした。
高山様、ありがとうございました。
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